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Cow Cow Blues


主な録音

  1. Davenport and Carr, Cow Cow Blues, (OKey, 1925年), CD:Document DOCD-5141.
  2. Cow Cow Davenport, New Cow Cow Blues, (Paramount, 1926年), CD:Document DOCD-5141.
  3. "Talking" Billy Anderson, Cow Cow Blues, (Columbia, 1927年), CD:Document DOCD-5388.
  4. Cow Cow Davenport, Cow Cow Blues, (Vocalion, 1928年), CD:Document DOCD-5141.
  5. Roosevelt Sykes, The Cannon Ball, (Decca, 1934年), CD:Document DOCD-5119.
  6. Charlie Segar, Cow Cow Blues, (Decca, 1935年), CD:Document DOCD-5220.
  7. Cow Cow Davenport, Railroad Blues, (Decca, 1938年), CD:Document DOCD-5142.
  8. Nora Lee King, Cannon Ball, (Decca, 1942年) CD:Document DOCD-5668.
  9. Sam Price, Cow Cow Blues, (Jazz Selection, 1945年), CD:Classics 1083.
  10. Meade Lux Lewis, Cow Cow Blues, (Atlantic, 1951年), CD:Atlantic 7 81694-2.
  11. Paul Gayten, Cow Cow Blues, (Okeh, 1953年), CD:Fremeaux & Associes FA 5164.
  12. Little Brother Montgomery, Cow Cow Blues,(Windin' Ball, 1954年), CD:Document DOCD-6034.
  13. Speckled Red, Cow Cow Blues, (Delmark, 1956年), CD:Delmark 600.
  14. Otis Span, Great Northern Stomp, (Candid, 1960年), Crosscut CCS1003 (LP).
  15. Memphis Slim, Cow Cow Blues, (Candid, 1961年), CD:Roots(F) RTS33013.
  16. Robert McCoy, Original Cow Cow Blues, (Vulcan 1963年), Oldie Blues OL 2814 (LP).

女性歌手ドーラ・カーとコンビを組んで夫婦ブルース漫才みたいなことをやろうとしていたチャールズ・ダヴェンポートは，1925年オーケー・レーベルに自分がピアノで伴奏を付け，自作の歌詞をカーに歌わせる形式で1曲のブギウギ曲を録音した．これが「カウ・カウ・ブルース」の最初の録音である．カーは仲々実力があったと思われ，ブギウギのリズムに対する乗りも良く，好演である．その後，ダヴェンポートは「カウ・カウ」・ダヴェンポートという名前で芸能活動を送るようになる．リトル・ブラザー・モンゴメリーやスペックルド・レッドはこのドーラ・カーのバージョンに基づいて歌物ブギウギ曲として演奏している．また，ダヴェンポートの「レイルロード・ブルース」はこの歌を作者自ら歌ったものだ（ピアノは弾いていない）．最初のカバー・バージョンらしきものは「トーキング」・ビリー・アンダーソンによるものだが，これもカーが歌ったものに忠実だ．これにはピアノの他，ラッパの口真似（寄席へ行くと川柳川柳師がやってますな）が伴奏にはいる．

ルーズベルト・サイクスの「ザ・キャノン・ボール」は，ピアノはカウ・カウ・ブルースそのもので，歌詞の方は，ドーラ・カーの歌に出て来る，

Starch my jumper, iron my overalls.
I'm gonna ride the train, they call the cannon ball.

というフレーズに自作の歌詞を付け加えていったものだ．また，サム・プライスがピアノを弾いているノラ・リー・キングのバージョンも「キャノン・ボール」と題されている．しかし，これはサイクスの歌詞ではなくオリジナルのドーラ・カーの歌詞を使っている．

カウ・カウはレコードの他，自動ピアノのピアノロールでもこの曲を出している．これが，少なくとも2種類あって，1つは1925年，もう1つは1927年に発売されている．前者はSwaggieでLP化されており，後者はBiographのCDで聞ける．

ディスコグラフィを眺めると，上に挙げたもの以外にもメンフィスのハーモニカ吹きジェド・ダヴェンポートのもの(1929年)などがあって，早くから人気曲としてカバーされていたことが分かる（ルイーズ・ジョンソンもそうか）．戦後録音でも，ドラムの駆動力も心地よいポール・ゲイトゥン，ソロでも達者なオーティス・スパン，というように良いのがある．