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Eleven Light City Blues/Kokomo Blues


主な録音

  1. Jabo Williams, Ko Ko Mo Blues Part 1 & 2, (Paramount, 1932年), CD:Document DOCD-5102.
  2. Big Boy Knox, Eleven Light City Blues, (Bluebird, 1937年), CD:Document DOCD-5232.
  3. Frank Busby, 'Leven Light City (Sweet Old Kokomo),(Decca, 1937年), CD:Document DOCD-5252.
  4. Walter Davis, Don't You Want To Go?, (Bluebird, 1941年), CD:Document DOCD-5286.
  5. Jimmy McCracklin, Baby Don't You Want To Go, (Globe, 1945年), CD:Classics 5062.
  6. Roosevelt Sykes, Sweet Old Chicago, (Imperial, 1955年), CD:BGO CD456.
  7. Roosevelt Sykes, Sweet Old Chicago, (Folkways, 1961年), CD:Smithonian Folkways CD 40051 (Americana (J) 28019B).
  8. Big Chief Ellis, Sweet Home Chicago, (Trix, 1976年), CD:Trix 3316.

言わずと知れたSweet Home Chicagoのグループに属する曲である．Sweet Home Chicagoなんてどんなブルースバンドでも演奏しそうだから，ピアノ・ブルースの曲と呼ぶのはおかしいとは思う．しかし，Sweet Home Chicago一族の曲の中で，すごく良いバージョンのいくつかがバレルハウス・ピアノ・ブルースの形式で歌われてきたので，ここにまとめてみる気になった．

とりわけジャボ・ウィリアムズのKo Ko Mo BluesなんかはSweet Home Chicagoの初期のバージョンの中でも抜群なのではないだろうか．残っている音源のコンディションはひどいが，音楽の躍動感やエネルギーが何だかもの凄い．この２パートに及ぶ１曲だけを聞いてもジャボ・ウィリアムズというのは偉い音楽家だったとつくづく思う．

「ルイジアナ生まれだ」と歌っているビッグ・ボーイ・ノックスの武骨で朴訥とした味わい，ハニー・ヒルの滑らかなピアノをバックにリラックスした歌を聞かせるフランク・バスビー，いつものように陰鬱なムードが独特のウォルター・デイヴィス、というように演者によって曲の雰囲気とメロディーはかなり違っている．しかし，どのバージョンも歌詞には互いに共通の要素があって，いずれもロバート・ジョンソンやロバート・ロックウッドやジュニア・パーカーやマジック・サムやブルース・ブラザーズのSweet Home Chicagoと同じ根っ子から派生したものであることは間違いない．

ジミー・マクラクリンは，まあピアノは弾くけれど，あまりピアノ・ブルースの印象はない．しかし，上に挙げた1945年録音ではJ・D・ニコルソンのピアノだけをバックに純粋なピアノ・ブルースを聞かせている．このマクラクリン・バージョンは誰をお手本にしたのか，出どころが良く分からないが，戦後バンド・ブルースで歌われるSweet Home Chicagoに結構近いようだ．

ルーズベルト・サイクスがSweet Old Chicagoという題名で録音したものを２バージョン，Imperialのバンド付きのものとFolkwaysの弾き語りのものを上に挙げたが，サイクスは他にも録音しているようで，映像も残っている．これはサイクス独自の歌詞を入れて相当に改作されたものになっている．ジュニア・パーカーのSweet Home Chicagoでは作曲者がサイクスとされていたようだが，サイクスのバージョンが有名だったということだろうか．

ビッグ・チーフ・エリスの1976年録音はウォルター・デイヴィスの1941年録音の歌詞を使っていて，雰囲気もデイヴィス風の演奏になっている．ただ，テンポはウォルター・デイヴィスのものよりかなり落としている．これも悪くない出来だ．