The Fives

主な録音

Tampa Blues Jazz Band, The Fives, (OKey, 1923年), Milan Jazz CD 887796．
Hersal Thomas, The Fives, (ピアノロール, 1924年), Biograph CD 115/Milan Jazz CD 887796.
Mary Lou Williams, The Rocks, (Decca, 1938年)， Classics 630.
Clipple Clarence Lofton, Sixes and Sevens, (Solo Art, 1939年)， P-Vine PCD-2434/5.
Clipple Clarence Lofton, The Fives, (Session, 1943年)， P-Vine PCD-2434/5.
Little Brother Montgomery, The Fives, (1960年),Magpie LP 4451.

怪童ハーサル・トーマスが兄のジョージとともに作ったとされる最も初期のブギウギ・ピアノ曲である．シルヴェスターの本によれば，この曲が楽譜として出版されたのは1922年のことで，当時の若手のピアニスト，特にミード・ルクス・ルイスとアルバート・アモンズに絶大な影響があったらしい．

最初に録音したタンパ・ブルース・ジャズ・バンドは白人のジャズグループだそうだ．微かに聞こえるピアノは確かにブギウギのようだ．ハーサル・トーマス自身はその翌年に自動ピアノに記録しているが，変幻自在にフレーズを繰り出し，怪童振りを発揮している．上手過ぎて不気味な子供，という感じがしないでもないが．

3番目に挙げたメアリー・ルー・ウィリアムズのものは，題名は「ザ・ロックス」となっているが，これはジョージ・トーマスの「ザ・ロックス」ではなく「ザ・ファイヴズ」だ．私はブルース一辺倒の人なのでメアリー・ルーには全然関心がなかったが，ジャズの方では有名人だ(そうだ)．高尚なジャズの音楽理論を知る人らしく頭良さそーな感じの演奏だ．

ロフトンがSolo Artに録音した奴はタイトルが可笑しい．ファイヴズの上を行ったのだろうか．

最後に挙げたリトル・ブラザー・モンゴメリーのものは英国でファンの家かなにかで録音されたものだ．ぐっとテンポを落とした美しい演奏で，ちょっと余人にはできない解釈だ．隠れた傑作と思うが，CDでは出ていないのだろうか?

なお，ジミー・ヤンシーがザ・ファイヴズ，ターナー・パリッシュがファイヴズ，リー・グリーンがメンフィス・ファイヴズ，ロバート・ショウがザ・ファイヴズという曲をそれぞれ録音しているが，これらは別の曲である．