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ブギウギとバレルハウス・ピアノのレコード
珍しくもないでしょうけど，お笑い下さいませ．
Bessie Jackson (aka Lucille Bogan), Alley Boogie, Perfect 198.
ベシー・ジャクソンとはルシール・ボーガンで，1930年の録音．ピアノを弾いているのはチャールズ・エイヴリー．小気味よいAlley Boogieも良いが，裏（こっちがA面？）が長く歌い継がれる重厚なSloppy Drunk Blues，ということでピアノ・ブルースの強力盤ではないかね．
Little Brother (Montgomery), Chinese Man Blues, Bluebird B-6658.
なにやらオリエンタルなムードの曲だけれど，1910年代くらいに流行った曲のようで，その頃からいくつか録音がある．裏はモンゴメリーならではのスロー・ブルースのSomething Keeps A-Worrying Me．
Walter Davis, I Love You More And More, Bluebird B-8312.
いつものように落ち着いた，深遠なスロー・ブルース．聞くほどに歌の世界に搦め捕られていく，そんなピアノと歌．裏も同じ1939年のセッションでBachelor Blues．
Pinetop And Lindberg, East Chicago Blues, Bluebird B-10177.
戦前のセントルイス・ピアノ・ブルースの佳作．もちろん双子のスパークス兄弟によるもので，アーロン・「パイントップ」・スパークスがピアノ，ミルトン・「リンドバーグ」・スパークスが歌を担当している．1932年2月の録音．
Little Brother, Farish Street Jive, Bluebird B-10177.
スパークス兄弟のB面はリトル・ブラザー・モンゴメリーのブギウギ曲だった．
Albert Ammons And His Rhythm Kings, Boogie Woogie Stomp, Decca 749.
アルバート・アモンズが何度も録音した曲の最初のバージョン．1936年1月の録音で彼のデビュー・セッションのもの．
Albert Ammons And His Rhythm Kings, Early Mornin' Blues, Decca 975.
アルバート・アモンズの比較的初期の録音．レーベルにあるようにバンド付き．
Meade Lux Lewis, Honkey Tonk Train Blues, Victor(J) A-1336.
もちろんミード・ルクス・ルイスが何度も吹き込んでいる曲だが，これはビクターの日本盤．裏はライオネル・ハンプトン．
Meade Lux Lewis, Bear Cat Crawl, Vocalion 4608.
1938年吹き込み．ちょっと恰好良い曲．
Charlie Segar, Lonsome Graveyard Blues, Vocalion 05539.
両面スロー・ブルースで，強力な歌手というわけではないけれど，まったりとしていてね．他のレーベルではブギウギ・ソロも録音している．1940年2月の録音．作者がYanceyと記されているのはどういう訳ですかね．
The Honeydripper (Roosevelt Sykes), Low As a Toad, Decca 7843.
ルースベルト・サイクスのデッカ録音には傑作がかなりあると思っているが，これも絶品と言ってよいだろう．「南部の女はガマみたいにちんちくりんだけど，それでも自分は南部に帰りたい」という望郷の歌のようだ．1941年2月録音のスローブルース．
Roosevelt Sykes (The Honey Dripper), Training Camp Blues, Okeh 6709.
これはデッカ録音の後，1941年11月の録音．このセッションでは８曲録音して１曲しか出なかったのどうしてだか．
Deryck Sampson, Kansas City Boogie Woogie, Beacon 7005.
1943年の録音．この頃ブギウギ風のピアノソロを何枚も出していた人だが，洗練されすぎでブルース好きにはちょっとねえ．
Big Maceo, Chicago Breakdown, Bluebird 34-0743.
大迫力のブギウギ・ピアノとして定評ある1945年録音の傑作．
James (Beale Street) Clark, Love Me Or Let Me Be, Columbia 36948.
ジェイムズ・クラークというシンガー／ピアニストのことは，マディ・ウォーターズのコロンビア録音に参加していることで御記憶の方もいるだろう．この盤にはウォーターズは参加しておらず，J.T.ブラウンのクラリネットが起用されている．歌い方などは全くルーズベルト・サイクスの真似だが，それなりに良い．1945年録音．
Hadda Brooks, Holywood House Party Boogie, Modern 157.
1946年9月の録音で，ほんわかした雰囲気も感じられるブギウギ・ピアノ．
Cecil Gant, Nashville Jumps, Bullet 250.
短期間に大量の録音を残したセシル・ギャント．ナッシュヴィルのBulletにも30曲以上録音がある．1946年のものでタイトル通り快調なジャンプ曲．
Camille Howard, Ferocious Boogie, Specialty 359.
1949年12月の録音．カミル・ハワードはX-Temperaneous Boogieがヒットしたこともあって，ブギウギ・ピアノの録音はかなりある．ギター，ベース，ドラムを従えて，これも快調．
Albert Ammons And His Rhythm Kings, S. P. Blues, Mercury(J) J-44.
この日本盤はちょいちょい見掛けるような気がする．戦後の録音でバンド付き．
Lloyd Glenn, Southland Special, Aladdin 3327.
1956年録音のピアノ・インストゥルメンタル．ちょっとArkansas Bluesを思わせるようなメロディー．ベースとドラムをバックにクールでリラックスしたブギウギ・ピアノ．
Paul Gayten, Cow Cow Blues b/w Ooh-Boo, Okeh 6982.
1953年録音のブギウギ・ピアノの古典．バンド・リーダーのイメージはある．けれど，リトル・ブラザー・モンゴメリーの甥らしく，時にはピアニストとしての腕前も見せる．裏側のOoh-Booもピアノ・ソロを聞けるインストゥルメンタル・ブルース．
Lafayette Leake Trio, Disgusted, Val 02.
Chessレーベルで色々なセッションに顔を出していたラファイエット・リーク．ピアノ奏者としての技量はずば抜けていた．これは1962年録音のメロウなスロー・ブルース．
Detroit Junior, The Way I Feel, USA 814.
「みんな休憩だよ，俺が一人でピアノ弾くから」と言って，ころころとブルースを弾き始める．1965年のナイス・ピアノ・ブルース．
Little Brother Montgomery Trio, Pine Top's Boogie Woogie b/w The Rocks, Blackbird 705.
1967年録音のブギウギ・ピアノの古典曲．リトル・ブラザー・モンゴメリー，Pine Top's Boogie Woogieは何度吹き込んでいるんだろう．裏側はThe Rocksとなっているけれど，これも彼が何度も録音したFarish Street Jive.
Jimmie Bell, Fine And Mellow b/w Night Time Is The Right Time, GDS 2008.
1977年制作の，伴奏無し，ドラムもベースもつかない，弾き語りピアノ・ブルース．
Champion Jack Dupree, Low Down Blues, Continental CLP-16002.
ジャック・デュプリはA面だけでB面はSonnie (Sonny Boy) and Lonnieという人達が入っている．デュプリは1945年の録音で．ちょっと安易な選曲もあるが，ブラウニー・マギーのエレキギターのサポートを得て，勢いがある．Sonnie and Lonnieというのはギター・ピアノ・デュオで，Sonnieの方が歌とギター．スムースな歌い方の，ナイスなニューヨーク・カントリー・ブルース．
Lloyd Glenn, Chica-Boo, Aladdin LP808.
お洒落なインスト集．
Henry Brown, Henry Brown Blues, 77 LA12-5.
セントルイスのピアニスト．再発見後，1960年に録音されたもの．
Jimmy Blythe, Messin' Around Vol. 1, Euphonic EES-101.
ブギウギ・ピアノを早い時期にレコードに録音した人，として知られているが，これは自動ピアノのピアノ・ロールに記録されたものの復刻．クラレンス・ジョーンズが演奏したものも含まれる．Vol. 2の方には謎のルディ・フォスターが残した曲が入っているのが気になる．ブライズとフォスターに関係があったのだろうか?
Little Brother Montgomery, The Piano Blues - Unissued Recordings Vol. 1, Magpie PY4451.
ご存知Magpieのピアノ・ブルース・シリーズの一枚．1960年に英国のFrancis Wilford Smithの家で録音されたもの．未発表の曲も含めてCD化して欲しいなあ．
Robert McCoy, Blues And Boogie Woogie Classics, Oldie Blues OL2814.
1920年代から1960年代まで伴奏者として時折録音をしていたアラバマ州のバレルハウス・ピアニスト．これは1963年にVulcanというレーベルに録音したもののリイシュー．タイトルが示すようにブルース・ピアノのスタンダード曲集だが，演奏内容は凄い．
Grey Ghost, Grey Ghost, Catfish CTF1001.
面構えの良いテキサス・ピアニスト．テキサス各地を旅していたようだが，レパートリーはブルースの有名曲が多いか．その中でちょっとサンタフェ派を思わせるWay Out On The Desertなんてのもある．
Pigmeat Jarrette, Look At The People, June Apple Recordings JA035.
シンシナティで長い間活動したバレルハウス・ピアニスト．1979年7月，74歳位のときの録音．骨格だけ，みたいなシンプルなピアノだけれどもバレルハウス・ピアノの伝統を伝えてくれる．シンシナティ・ブルースの歴史の証人としても貴重だった．
Lazy Bill Lucas, same, Philo 1007.
シカゴ・ブルースのピアニストのイメージが強い人だが，晩年ミネソタ州ミネアポリスに住むようになってから意外と何枚もLPを作っている．ピアノよりも吐き捨てるような歌いっぷりが聞きものか．これは1971年と1973年の録音で悪くないと思う．